「服を作る前に、まずは種を蒔くことから始めてみよう」。
そんな思いからはじまった“茶綿プロジェクト”。そこから生まれたのが、種から作ったオーバーサイズシャツです。
春に種をまき、風や光、虫たちの気配を感じながらゆっくり育った茶綿。
秋に収穫し、繊維をとりだし、糸に紡ぎ、生地にして、ようやく服になる。
自然のリズムに合わせた、時間のかかる服づくりです。
今回仕上がったこのシャツは、そんな循環のなかで生まれたもの。
自分たちで育てた茶綿をほんの少し(全体の5%ほど)混ぜて、やさしいオートミール色に。残りは、トルコ産のオーガニックコットンを合わせて編み上げています。
使用しているのは、旧式の吊り編み機。今では数が少なくなったこの機械は、糸に無理をかけず、空気を含ませながらゆっくりと編んでくれます。そのおかげで、ふわっとやわらかく、着るほどに風合いが増していく。そんな生地が生まれました。
デザインはゆったりとしたフリーサイズで、男女問わず着られるシルエット。袖をくしゅっとまくるとドレープがきれいに出て、さっと羽織るだけでも絵になります。透け感がほとんどないので、一枚でも安心。胸には小さなポケット付きです。
洗うたびにやわらかさが増し、茶綿のふわふわとした感触に近づいていく不思議な心地よさ。
そんな感覚もぜひ、味わっていただけたら嬉しいです。